インドネシアの移転価格税制
近年の動向
(2022年11月29日更新)
インドネシアではBEPS行動13について新たな規定(PMK-213)が発令された。PMK-213 では、国外関連車間取引に係るマスターファイル、ローカルファイル、国別報告書(CbCレポート)に関して定められている。 また、PER-29ではCbCレポートの詳細について定められている。
基本情報
①税務当局
Directorate General of Taxation (DGT)
②移転価格税制の課税対象
特殊な関係がある国外関連企業との取引。
なお、特殊な関係としては以下の関係が挙げられている。
◆25%以上の資本関係(直接、間接、(被)共有の関係)
◆直接・間接の支配関係(共通の者に直接・間接に支配を受ける関係を含む)
◆血縁・婚姻により一親等以内の近親者とみなされるもの
①OECDガイドラインとの整合性
インドネシアの移転価格税制は、概ねOECDガイドラインに準拠しているが、税務調査においては異なる取り扱いがなされることもある。
③移転価格文書化義務(マスターファイル、ローカルファイル、国別報告書)
I.国別報告書
- 対象初年度:2016年
-
企業グループの連結総収入金額が11兆IDRを超えている場合は、国別報告書を作成する義務がある。
- 使用言語:インドネシア語
- 期限:会計年度終了から12か月内に準備、申告書の別紙として提出。
- 罰則:100万IDRおよび追徴税200%以下のペナルティー。犯罪に該当する場合には12か月以下の懲役。
II.マスターファイル
- 対象初年度:2016年
- 使用言語:インドネシア語。
-
年度に関連者間取引を行った上で、下記のいずれかの条件に合致する企業はマスターファイルを作成する義務がある。
①関連者が当該企業より低い税率の税務管轄に所在する場合
②前年度の収入金額が500億IDRを超えている場合
③前年度の関連者間有形資産売買取引額が200億IDRを超えている場合
④前年度の関連者間無形資産取引金額が50億IDRを超えている場合。
- 期限:会計年度終了から4か月以内に準備。提出依頼から7日以内に提出。あるいは調査プロセスにある場合は30日以内に提出。
- 罰則:文書化の不備等により課税所得に誤りが生じた場合、利子率にその20%加算した料率により附帯税が課される。
III.ローカルファイル
- 対象初年度、使用言語、条件、期限、罰則はMFと同じ。尚、遅れて提出された場合は認められない可能性がある。
④移転価格に関する税務当局への開示
法人税の申告に係る事項として、国外関連取引の詳細及び移転価格文書に関する備考を求める2つの別表の提出が求められる。開示がなされない場合、税務当局から注目を受ける可能性が高くなる。/span>
⑤移転価格算定方法
独立価格比準法(CUP法)、再販売価格基準法(RP法)、原価基準法(CP法)、取引単位営業利益法(TNMM)及び利益分割法。
2011年11月以降、ベストメソッドルールが導入されている。
⑥移転価格課税の時効
5年
⑦罰則等
税務調査を有利に進めるには文書化しておくことが有効。
移転価格課税を受けた場合: 遅延利息
⑧相互協議・事前確認申請(APA)
相互協議:課税を受けた場合、納税前に相互協議を申し立てることが可能。
APA:ユニラテラルAPA、二国間APAを想定。